晋平太 v.s. FEIDA-WAN
UMB2010 FINAL 東京代表 晋平太 v.s. 岡山代表 FEIDA-WAN
今回はこちらのバトル、UMB2010の決勝戦です。
どちらが勝っても初優勝というマッチアップで、非常にレベルの高い白熱した展開となりました。
[晋平太]
俺の切れたフローは社長みてぇ
つーかオマエ顔が タコみてぇ
俺のrapの方が魔法みてぇ
FEIDA-WAN 見てろ目ん玉
俺はペータワン まるでリンダマン
オマエは坊屋春道
RHYME BOYAの方が一生マシだろうがオラ
[FEIDA-WAN]
オマエが マジックなら
俺は忍術を使う
FEIDA-WAN 忍者
オマエは韻が 仕込んできたな?
俺は宿題どおりにやってねぇんだよ
この場所で即興 オマエわかる状況
韻の禁断症状 オマエの即興
[晋平太]
あのな オマエみたいなrapは
俺でも できるけどな
韻やスキルにこだわりがあんだ
お分かりかバカなアンタ
まだ分からんか?
なら 俺は名古屋に行くぜ
食らわしてやる I’m a 若旦那
一歩下がんな
そんな程度でHipHop語んな
[FEIDA-WAN]
俺を バカバカ バカバカバカ
俺に感謝が無いんじゃないのか?
一回戦で言ったのはアンタ motherfucker
仕込んできた韻それだけか?
晋平太 時代は変わるぜ
俺が WAN of the FEIDA
懐もちっちゃい 背もちっちゃい
靴もちっちゃい すべてちっちゃい
[晋平太]
ハイハイ整いました
晋平太と掛けまして 寿司屋と解く
その心は その心は 仕込んだネタが 命でしょ
オマエじゃねぇ 白々 みんな
気持ちの違い 気持ち悪ぃ どつき合い
一つ言うぜ食事代 おごるから
こっから消えろ今のうちに
[FEIDA-WAN]
怒ってばっかのhaterくん
体たらく 白線アーム
秋葉原行って集めろフィギュア
A-boy batti boy オマエはビギナー
隠せていないぜ内心シビア
俺がゴジラならオマエはミニラ
連戦連勝 リアルな返答
[晋平太]
言っとくがrapは身長じゃねぇ
俺の方が勢い尋常じゃねぇ
確かにオマエは人気もん
だけど 俺のことだ 信じろ
Eiyo 上手く見えねぇ 俺は前が
だけど俺ならばカミカゼライマー
神がかっても 涙が出る
俺の後ろに 神が立ってる
[FEIDA-WAN]
俺はぜってー 諦めないぜ
ここにいる全員が俺のエネミー
だろうが 俺のNo.1はPublic Enemy
Flavor Flav
オマエをかっ喰らう
安心してるツラも もう 速攻ここで終わる
俺の地元に来りゃオマエは瞬殺
ぶっとばす おめーをここで食らう wah!
概要
8小節4本
ビート: TOKONA-X / EQUIS.EX.X
勝者: 晋平太
解説
UMB2010 FINAL 東京代表 晋平太 v.s. 岡山代表 FEIDA-WAN
今回はUMB2010本選から決勝の模様を紹介したいと思います。
R-指定やJAG-MEといった強豪を倒しながら前評判通り順当に勝ち進んだ晋平太。対するは2006から挑戦し続けてようやく決勝まで進んできたFEIDA-WAN。どちらもキャリアやスキルから言ってもベテランのMCと言っていいかと思います。
UMB2010といえば、晋平太とR-指定との壮絶な一回戦が印象に残っていますが、こちらの決勝戦も非常にレベルが高く、バトル史に残るほどに素晴らしい戦いになっていると思います。
試合の内容に移ります。まずは先攻の晋平太。バトルビートとなった楽曲の引用から入って忠実なビートアプローチとライミングです。
また、リズムを守りつつも「FEIDA-WAN」→「リンダマン」→「坊屋春道」→「RHYME BOYA」と話題の推移も非常にスムーズで、且つ着地もキッチリdisで終わるという即興のお手本のようなバースの構成になってます。
そのスムーズさは後攻のFEIDA-WANが思わず「仕込んできたな?」と言ってしまうほど。もちろん用意してきた部分もあるのでしょうが、続くバースから言ってもそれだけではないことがわかるはずです。
他方、FEIDA-WANの方も非常に内容が面白いです。1バース目「まるで扇子の足りないジュリアナTOKYO」を始め、「2位じゃダメなのか? まるで蓮舫」など、ひねりの利いたライン出しつつライミングを交えてバースに組み込んできます。
こちらもさすがに完全なトップオブザヘッドではないにしても、決勝戦、それも相手との対話の中での話なので素直に賞賛されて然るべきスキルではないかと思います。非常にうまいです。
2010から11にかけてという時期については、「晋平太一強時代」という印象もありますが、この決勝戦を観る限りFEIDAの方もしっかりと食い下がっています。両者ともに刺すところはキッチリと刺している感じでどちらが勝ってもおかしくないほど拮抗した展開になっています。熱いですね。
ちなみに3バース目、FEIDA-WANの「俺がゴジラならオマエはミニラ」というラインが個人的にはとても気に入っています。相手が晋平太だと効き目もひとしおで、ついニヤりとさせられるような一発です(笑)
勝負が動いたのはやはりラスとの4バース目でしょうか。晋平太の方はヒートアップしてさらに勢いが増すばかりといった状況の中で、「神がかっても 涙が出る」とのラインの通り、感情昂りからか試合半ばにしてすでに泣いてしまいます。
しかし何があっても最後までバースを完遂するのが彼のスゴいところでもあり、しかもこういった感情の起伏がいい感じのバイブスになっているという面もありますね。
FEIDA-WANにとっては後攻にも関わらず劣勢に立たされた、というようなそんな流れになってしまいました。
結果は最後の顛末もあって晋平太の勝利。この年UMB初優勝となりました。
FEIDA-WANにとっては残念な結果となりましたが、もし最後のバースでさらにギアを上げることができていればまだ結果はわからなかったかもしれません。
ちなみにこの二人約8年後の2018年に戦極MCBATTLEの17章で再戦することになったのですが、今回の決勝戦の流れを踏まえて見てみると面白いです。
[戦極MCBATTLE 第17章] FEIDAWAN v.s. 晋平太
UMB2010、一回戦のR-指定戦から始まりCRESS、JAG-MEなど、晋平太絡みのバトルはいずれもベストバウト級の面白さでした。
その流れでこの決勝でしたのでこの年もドラマに満ちた大会になったんではないかと感じます。そしてそのストーリーのクライマックスに晋平太の初優勝がくるわけですね。
さらにその先には地方勢の急激な世代交代や、R-指定の台頭という新しいストーリーにつながっていくことになるのですが、そういった大きな流れで見てみるのも面白いですね。
※ バリバリ現役だ 社交辞令
ビートよりTOKONA-Xの引用。
※ 坊屋春道
漫画『クローズ』の登場人物。
※ RHYME BOYA
同大会出場MC。横浜予選優勝。
※ 扇子の足りないジュリアナTOKYO
「センスの足りない」とダブルミーニングのライン。
※ I’m a 若旦那
ここではTOKONA-Xのことを指す。
※ 一回戦で言ったのはアンタ
同大会1回戦 R-指定戦での「対戦相手に感謝が無ぇな」という晋平太のラインのことを指す。
※ batti boy
スラングで「ゲイ」の意。
※ 2位じゃダメなのか? まるで蓮舫
時事ネタ。 – 2位じゃダメなんでしょうか?
素晴らしいコラムですね。
私の至らない表現、語彙力すべて表現されていて感銘を受けました。
> MC愛知 さん
コメントありがとうございます!
趣味で細々やってるメディアですが、そこまで言って頂けて感激です!この記事でより試合を面白く観てもらえたら嬉しいです。