OMSB v.s. mol53
戦極MC BATTLE 一回戦 第10章 OMSB v.s. mol53
今回は戦極10章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
mol53対OMSB、もうこの並びだけでワクワクしてきますね。
[OMSB]
Yo wassup? mol53
落ちてたな渋谷のストリート
どこでもいいけど 俺はストーリー
このストーリーにオマエは要らないな
99erじゃく89er 89年生まれ
そんなことはどうだっていいけど
上がってけりゃ それ最高じゃねぇの?
[mol53]
東京に落ちてるゴミと一緒にすんじゃねぇ
俺の地元は空気がキレイ
オマエのrapみたいに味がダセぇ
つーか採れたて? グロウじゃねぇ huh
教えてやるぜ ブランドじゃなくても
高く飛べる方法ってやつを
俺は東京 何回目?
今日はマジで勘弁言わせません
[OMSB]
俺の地元もマジ空気うめーぜ
Yeah 神奈川 yeah motherfucker
あかさたな なんて意味ねぇこと言わねぇで
オマエをdisるだけだ
ヘタ打つわけじゃねぇ
当てはめ ていくぜ オマエにハメハメ
じゃねぇホモじゃねぇ
でも開けてく
これがOMSBのスキルの殊勲
[mol53]
結局それもスルー
躱さずに当ててく
オマエが神奈川
俺は宮崎の日南県南
サーファー波乗り 一番キレイだ
一回やってきな
俺がおもてなししてやるから
吸わねぇんだったらぶっ飛ばしてやる
俺のマイクとrap 聞かしてやる
[OMSB]
Yeah yeah yeah yeah
ぜってー吸わねぇからそこだけは覚えとけ
俺はガンジャもすべてLSDとかも
全然意味ねぇからそういうの止めとこうぜ
そして俺はドス黒い サーファーよりもな
Yeah ふざけんじゃねぇよ
俺にガンジャ吸えなんて
言うんだったら俺はブチ切れるぜ
後でぶっ飛ばしてやるからそこだけは覚えとけ
なんていうことも まぁいっか
[mol53]
ホフマンにジョン・レノン
パープルヘイズ LSDでぶっ飛んでよう
高負荷ウィード なんでもアリだ
シラフでもごちゃ混ぜチャンポン
東京ビジョン in a vision
俺が見えてるホントの心
これを鷲掴みたいだけ
今日はオマエたちに向けるrapで yeah
概要
8小節3本
勝者: mol53
解説
戦極MC BATTLE 一回戦 第10章 OMSB v.s. mol53
今回は戦極10章からこちらの一戦。これも面白い組み合わせですね。
宮崎出身で叩き上げのバトルMCであるmol53と、楽曲制作等を中心に活躍するSIMI LABのOMSBという、楽しみすぎるマッチアップになってます。
それでは内容に移ります。まずは前半戦。こういったバトルでの露出がかなり珍しいOMSBですが、音源と変わらぬ声質とフローでスピットしていきます。文章にすると平板ですが、ビートアプローチは非常にスムーズです。
続く後攻mol53。「東京に落ちてるゴミと一緒にすんじゃねぇ」というアンサーからバースが始まります。
そしてこちらもビートアプローチはさすがのもので、特に「今日はマジで勘弁言わせません」という辺りなど、ビートを自分のモノにしている感じがやはり頭ひとつ抜けています。
そしてOMSBの2バース目。mol53の「俺の地元は空気がキレイ」というラインに合わせて立ち上がりは「俺の地元もマジ空気うめーぜ」から入り、そのまま「神奈川」「motherfucker」とつなげていきます。
ライミング自体にそれほど真新しさはないものの、相手のラインを吸って打ち返すという基本に忠実なスキルを駆使しながらrapしていて即興性の高さを伺うことができますね。
また、音源でのパフォーマンスそのままにビートへのアプローチも非常にハマっていて、同じくビートキープに定評のあるmol53と比べても決して見劣りしないノリ方をしている点にも注目で、総じて素晴らしいバトルを展開していると思います。
続くmol53の2バース目。OMSBが受けた地元の話題をさらに繋げて「俺は宮崎の日南県南」「サーファー波乗り 一番キレイだ」とラインを2小節ひとつなぎに返していくのですが、これが非常に気持ちよく流れていきます。
特にライミングがハードなわけでもなく、またメッセージにウィットがあるわけでもなく、純粋にビートキープとフローだけでリリカルな情感を想起させているかのような一節で、ここはオーディエンスもかなり上がっていました。
文章にしてもなかなか書きあらわすことが難しいのですが、ここは個人的にも本試合でベストのラインだったのではないかと思います。
そしてOMSBの最後の3バース目。ドラッグの話題を出されたのを受けて「ぜってー吸わねぇからそこだけは覚えとけ」と語気を強めたところから始まります。
この辺りはけっこうヒートアップしていて、それまでのビートに合わせたアプローチとは違い、このバースは気持ちを乗せた主張をそのままスピットしていくような感じになってます。
そして後攻のmol53、こちらは最後までビートに忠実です。OMSBからの拒絶も意に介さず、話題はそのままに関連する語彙を並べ立てながら終了まで軽快にビート上を流れていきました。
最後はクールにどこまでもフローしていくという感じで、後半には語気を強めてまくし立てていたOMSBとは対照的な構図が生まれていた印象です。
結果は最後の着地までスムーズなフローを維持していたmol53の勝利。個人的には非常に興味深い取り合わせでしたが、どちらのrapもカッコよく、レベルの高い一戦となっていました。
そしてやはりmol53のフローは必見ですので是非一度映像でご覧頂きたいと思います。
SIMI LABのOMSBは個人的にとても好きで、まさか戦極でその姿が見られるなんて驚きです。
特に音源では以下のようなシリアスで独特なフローをしていて、非常にカッコ良いrapをしていますので是非チェックしてみてはいかがでしょうか。
※ ホフマン
アルバート・ホフマン。LSDの発明者。
※ パープルヘイズ
日本語で「紫煙」。主にタバコの煙を指す言葉。