晋平太 v.s. JAG-ME
UMB2010 BEST8 東京代表 晋平太 v.s. 仙台代表 JAG-ME 延長
今回はUMB2010からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
この対戦、延長前のバトルについてはこちら以下からご覧ください。
[晋平太]
JAG-MEの勝つ目? あるはず無くね?
オマエの役目 ここで負けるぜ
行けよキャバクラ もしくは鎌倉
刀だったらば単なるナマクラ
食ってろ仙台牛タン定食
使いこなせない2ターンテーブル
なんでその場所に突っ立ってんの?
オマエの勝つ確率は1%
[JAG-ME]
なんでこの場所に突っ立ってんの?
俺は使ってない2ターンテーブル
誰が言ったのチンケな堤防
要らない また踏み潰したガジラ
みたいなもんだ 俺は今夜ガチだ
悪ぃが 遠足でもなきゃ遊びじゃねぇんだ
目が覚めんのか?
晋平太 まだ寝てんのかい?
[晋平太]
つーかオマエの方が背が高い
だけどフェアじゃない オマエは目立たない?
しかも目が赤い たぶん足も出ない
つーか 何もしてない 足元見んなよ
橋本真也のようなラリアット
読んでるつもりかオマエ歌詞カード
価値観の違い 東北は寒い
マジで言葉が かじかんどる
[JAG-ME]
東北は寒い 東北は寒い
東北は寒い かじかんだ手
ポケットにゃ入れとかないぜ
Get 0か 100か
100を ゲット
それができちゃう 俺はゼットン
オマエはなんだっけ なんとかマン
結局要らない脇役者
ここには咲かない花ならば
[晋平太]
オマエの方こそ脇役者
立ってるからな要らねぇバイアグラ
先輩役者 先輩ギャグか?
先輩なんだろ仙台産?
オマエは先代にも負けてるぜ
命がけ 俺のが長けてるぜ
命がけのplay 俺の方が上
オマエをサグなら吊るすぜクレーン
[JAG-ME]
命がけのそのplayにジエンド
東北からでっかい看板
本番に強い某MC
田舎の看板 JAG棒ME
もう眠い 眠たい御託 並べてる
すごろく すぐロック
GETできるマイクでrock on
[晋平太]
オマエと互角? なにをほざく
お客しか見てない ここでもがく
破るぜ鼓膜 投げるぜ変化球
止まらぬ剣幕 駆けるぜ年末
俺らとケンカする オマエじゃ怪我する
俺ならぺーた数 オマエは天かす
一瞬ボケナス
マジでフルコースで マジもてなす
[JAG-ME]
マジもてなす マジボケナス
どうでもいい コケんなよおい少年
とぼけんなよ
俺その次まで行っちゃうよ?
わかってる わかってる
振り振り振られの振り子はドンジャン
晋平太 落っこちときな
概要
8小節4本
勝者: 晋平太
解説
UMB2010 BEST8 東京代表 晋平太 v.s. 仙台代表 JAG-ME 延長
今回はUMB2010からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
この試合はこの大会最大の山場のひとつと言っていいかもしれません。前回から続く晋平太とJAG-MEの延長戦となります。
晋平太を相手に善戦していたJAG-ME。バイブスでもスキルの面でもまったく引けをとらず、見事に判定が割れて勝負は延長となりました。
まずは1バース目、晋平太からです。「JAG-MEの勝つ目?あるはず無くね?」と小節ごとのライミングを入れつつ、ストレートなdisをぶつけていきます。
さすがは2010年当時のチャンピオンといったところで、小節のサイズにピッタリ合った言葉数と、踏み外さないライミング、内容の整合性など、どれを取っても欠点の見当たらない非常にキレイなrapをしているのがわかります。
対する後攻のJAG-ME。「なんでこの場所に突っ立ってんの?」「俺は使ってない2ターンテーブル」と、晋平太前半2小節へのアンサーから始まります。
その後も着地の「晋平太 まだ寝てんのかい?」という静かに問いかけるようなラインまで、前のめりな晋平太と一線を画した、非常にJAG-MEのカラーが出た内容になっていると思います。
2、3バース目は双方ともに打ち合いです。大きなミスがひとつでもあればその時点で勝負が決してしまうような流れの中で、どちらも非常にレベルの高いパフォーマンスをしていてバトルの流れは半ば膠着していきます。
特に晋平太が3バース目で「命がけのplay」「俺の方が上」というあたり、徐々に高まってきたバイブスがピークに達する瞬間があるのですが、
それに対してJAG-MEの3バース目も、「本番に強い某MC」「田舎の看板 JAG棒ME」と今では有名となったルーティーンで応戦。ここまでは本当に五分五分といったところでしょうか。
延長に入ってなお、JAG-MEがまだまだ食い下がっているのが個人的には本当にスゴいと思います。
実力の上では当代最強MCと誰もが認めるていたであろう晋平太、その全力のパフォーマンスに対して、この2010年時点で一体どれだけのMCがキャッチアップできていただろうかと考えると、その凄さもよくわかります。JAG-MEかっこいいよJAG-ME。
そして迎えたラスト4バース目。ここにきて晋平太が爆発します。
「オマエと互角? なにをほざく」「お客しか見てない ここでもがく」JAG-MEは前のバースで実際は「御託」と言ってはいるのですが、相手の言葉を拾い上げてのカウンターが最初の2小節。
そこからはもうライミングもバイブスも止まらず、最後の「マジもてなす」まで勢いを殺すことなく疾走していきます。
初見では終盤まで同じ音韻で踏み通しているように聞こえるのですが、よく聞くと3小節目「破るぜ鼓膜 投げるぜ変化球」の部分で「御託」から「変化球」に音韻がシームレスに移行しているのがわかります。
また、当時の晋平太はライミングと内容、メッセージが完璧に整合・並存していた唯一のMCと言われていましたが、この辺りのバースはまさにその点が際立っていますね。
JAG-MEの健闘も素晴らしかったのですが、試合が終わってみると判定の多くは晋平太に。
スタミナといい4バース目の瞬発力といい、最後の最後で凄まじいまでの気迫を見せつけた格好となりました。感覚的には実力の差というより勝利への執念が上回った感じでしょうか。気持ちの面で頭一つ抜けたからこその結果のように思います。
UMB2010といえば一回戦の晋平太 – R指定戦が有名ですが、このマッチップも大会屈指の名勝負ではないでしょうか。私的大会ベストバウトです。
※ 橋本真也
日本のプロレスラー。故人。
※ ゼットン
「初代ウルトラマン」をはじめとした特撮テレビ番組「ウルトラマンシリーズ」に登場する怪獣の名前。
※ 先代
UMB2009の仙台代表は2SKである。
※ JAG棒ME(じゃぐぼうえむいー)
JAG-MEが要所要所で用いるルーティーン。「棒」とは名前のハイフンを表す。