[ハハノシキュウ]
さっき渋谷駅で職務質問受けたんだけど
その時の警官にオメーがそっくりだからマジでぶっ殺す
これは逆恨みだけど とりあえず見せてく頂上決戦
どうせこの後 熱いこと4回言って盛り上がって
後で動画で観たら全然大したこと言ってないタイプなんだよ
テメーはよ いい加減にしろ
面倒臭いな 戦極CAICA
いい加減にしてくれないか
分かるか like a のび太の整形外科
またはホモのプロレスラー
[NAIKA MC]
頼むよ もうちょいゆっくりしゃべれよ
やり合いたいんだぜガッチリ
8×8=49 数字の間違い訂正しとけ
もうちょいなんか中身のあること言ってくれよ
ペラペラペラペラペラペラ オマエ外人か
なぁ 日本人なら日本語でしゃべってくれよ
We are ジャパニーズHipHopの真髄見せる
[ハハノシキュウ]
ゴメン でっけーピーナッツが喋ってるようにしか僕には見えねぇ
悪いね ゴメンね
8×8=49
人生っていうのは計算より15ぐらい少ないのが普通なんだよ
分かってねぇな テメーいい加減にしといて
その頭 …….寝てた
僕寝言の癖ある 昔だから
いいか? みんな 気にすんなよ
[NAIKA MC]
起きてくださーーーい
それ夢遊病だったら半端じゃねぇな オマエ
ピーナッツみてぇな頭だったり
ドングリみてぇな頭だったり
オマエ 愛のむき出しをちょっとだけ見してやろうか?
オマエ 冗談じゃねぇよ
人生は計算通りにいかねぇけどな
MCバトルは計算通りにしてぇぐれぇの気持ちを持ち込んでんだよ
気合い足んねぇぞ もっとかかって来いコラ
概要
8小節2本
勝者: ハハノシキュウ
解説
戦極MC BATTLE 第15章 一回戦 ハハノシキュウ v.s. NAIKA MC
今回は戦極の15章からこちらの一戦です。
ハハノシキュウ対NAIKA MCという、さすが戦極だけあって一回戦からいきなりの好カードです。
立ち上がり、先攻のハハノシキュウは相変わらず身勝手な話題で会場を笑いに誘いつつ、空気を作っていきます。
熱いこと4回言って盛り上がって後で動画で観たら全然大したこと言ってないタイプ
そしてNAIKAに対するdisとしてはこのラインです。実際のところどうかは置くにしても、なんとなくわかるような揶揄でオーディエンスを盛り上げていきます。
ハハノシキュウと言えばダミ声で早口にまくし立てていくのがお馴染みの光景ですが、これ音源でもまったく変わらないんですよね。フリースタイルだろうがrapのクオリティをまったく落とさず、即興性をかなり維持したままパフォーマンスしているという点はもっと認識されていいと思います。
そしてもう一つの特徴である意表を突いたデリバリーと底意地の悪い揶揄(dis)はこの試合でも明白に現れていて、disもあればジョークやパンチラインもあり、無駄なラインがまったく見当たらない中身の詰まったバースになっていると思います。個人的には相当笑わせてもらいました。
特に反撃の2バース目では、「8×8=49」とプリントされたTシャツをいじったNAIKA MCの「数字の間違い訂正しとけ」というdisに対して、「人生っていうのは計算より15ぐらい少ないのが普通なんだよ」と切り返し。もちろんストックというかルーティーンではあるのですが、ここは個人的に本試合最大のパンチラインです。
そしてバース後半の「寝てた」宣言ですが、ここは言葉に詰まったわけでもなく、ただ単にやりたい放題やっている感じになると思うのですが、とにかく自由すぎますね(笑)
NAIKAも流れを掴んで一気にもっていくタイプのMCではあるのですが、相手がこの調子ではさぞやり辛かったろうと思います。
対してそのNAIKA MCですが、こちらも自分のスタイルをそのまま出している感じで、全体としてはうがった発言を繰り返すハハノシキュウに対してオラオラした内容を語気を強めて浴びせかけていく感じですね。
NAIKAの方もビートアプローチが強い、というかフローを前面に出すタイプのMCではありませんが、なんと言っても会話調のラインの合間、バースのピークに当たる部分でビートにカッチリとハマったパンチラインを出してくるのが特徴です。
例えば1バース目ラストのラインなど、ここぞというところで語気を強めて、一気にビートとの距離を詰めるラインが出ることでバース全体が一気に引き締まります。例えそれまで相手の内容に合わせた受動的なrapだったとしても、最後1ラインの攻勢で一気に持っていってしまう強さがあります。
特に今回の2バース目については、前半4小節が相手のバースを受けるrapになっていて、そこから「愛のむき出しを」と笑いに転じさせる場面があった上で、「気合い足んねぇぞ」と強い調子で盛り返しにかかっていることがわかります。
表面的なrapの技巧ではなく、こうした試合の流れを意識した戦い方はNAIKA MCの真骨頂で、バースごとの組み立ても大筋ではよく考えられているのが分かりますね。
試合としてはユーモアもありdisもあり、パンチラインありで非常に盛り上がっていたのですが、判定により勝者はハハノシキュウ。
僅差ではありましたが、盛り上がりや内容の起伏で言うと順当なジャッジだったと言えるでしょう。
この一戦は両者のやり取りがいちいち面白く、短い時間ながら非常に見応えのあるバトルだったのですが、オーディエンスの予想や期待をことごとく裏切っていくハハノシキュウの推測不可能なデリバリーとパフォーマンスに支持が集まった感じでしょうか。まさに「次の試合も見たくなるMC」という感じだと思います。
寝てた? のくだりは般若の楽曲「寝言」のサンプリングだと思いますよ。
> b-boy さん
コメントありがとうございます!
こちらはサンプリングだったんですね、ハハノシキュウは何度かこのフレーズを言っていたので気になってはいたんですが、勉強になります!