ふぁんく v.s. 釈楽
UMB2017 2回戦 大阪代表 ふぁんく v.s. 岩手代表 釈楽
今回は発売されたばかりのUMB2017から一回戦のこちらのバトルです。
今年も本選の舞台でふぁんくが観れますね!
[ふぁんく]
ハイ どーもー みなさんお待ちかねー
会場を 盛り上げるのは俺しかいねー
ていうかさっきからおもんない試合だらけで
これ俺UMB本選の会場間違って来ちゃったかな、と思っちまったよ
一回戦 そんなんばっかり 二回戦 楽しませてくれないと
だってオマエ 俺とムートンのビッグマッチ潰してもうたんやからな
責任重いでぇ? こんぐらい?
[釈楽]
ギャグセンじゃオマエに勝てねぇからな
俺は俺の土俵で戦うぜ
なんたってここ本選 ココ東京
Yo 残しに来たのさ 論より証拠
Uh 血と汗と涙と 共にばら撒いたDNA
ボンクラどもが夢の跡
Under pressure 止まらん 暴走列車
[ふぁんく]
今見せてくれた? 本当に?
ショボッ! 論より証拠? 嘘でしょ?
俺には聞こえなかった全然
オマエもしかして 何にも言ってなかったんかな?
流れる水のように 俺がいつも通り
「ギャグセン 敵わねぇ」とか言ってるオマエ
ラッパーとしてバカじゃねぇ? ハハッ
すべて備える それがラッパー
分かるかな? HipHopは実力派
[釈楽]
ドヤ顔 韻踏み 学芸会
付き合ってるヒマない 本物のrealised見せて
やって重ねたone day 培ったド根性 叩き上げ
Uh, yo yo yo
オマエのギャグセンに勝てねぇ それ当たり前だろ
関西叩き上げ? 俺東北の叩き上げ
このスキルひとつたりとも飾りじゃねぇ
概要
8小節2本
勝者: ふぁんく
解説
UMB2017 2回戦 大阪代表 ふぁんく v.s. 岩手代表 釈楽
今回はUMB2017の本選からこちらの試合を取り上げたいと思います。
今年もふぁんくが本選へ出てきましたね。2014,2016に続き今回が3回目の本選出場。
今回はシードの関係で2回戦からの登場となりましたが、前年のUMB2016では呂布カルマを相手に一回戦敗退を喫しており、今年こそは期待したいところです。
一方の対戦相手の釈楽は岩手予選を勝ち上がり、今回が本選初出場となりましたが、一回戦ではなんと初戦でムートンを破る大金星を上げています。
まず先攻はふぁんくから。面白おかしい感じではありますが、1回戦の試合を軒並み「面白くない」と、いきなりこの調子です。
一見するとふぁんくはノリのいいユーモア満載のrapをしているようで、実際にはスキルが一定水準に満たないMCに対してはかなり辛辣に糾弾していく傾向がありあすね。
例えばUMB2014のGOTIT戦などがいい例ですが、今回もご多聞に洩れずそんな試合を大いにdisってる感じですね。
[UMB2014] ふぁんく v.s. GOTIT
そしてこちら。今大会、会場をはじめとして事前にトーナメント表を見ていた誰もがこの「ムートン vs ふぁんく」のマッチアップを期待していたんではないかと思いまが、そんなオーディエンスの気持ちを代弁したかのような一節になっているわけです。
そこへ突如現れた無名MCが勝ちをさらっていったわけで、もう大番狂わせと言っていいレベルで序盤から波乱を巻き起こしていたんですが、それでもこのdisは釈楽に対して中々辛辣な一節になっている感じですね。。
ただ自分で「ビッグマッチ」と言ってしまう辺りは若干小憎らしい感じがしないでもないのですが、ふぁんくが言うから許されるみたいなところはあります。
続いて後攻の釈楽。こちらはふぁんくと打って変わって、かなりシリアスなバースを展開するMCで、そのデリバリーやフローはさすが代表だけあってかなりかっこいいです。
ライミングも厚いわけではなく、また内容も特別ウィットに富んでいるというわけでもありませんが、地のフローがスムーズなのに加えて、ワードセンスのバランスがよく、初出場とは思えないほど安定感のあるパフォーマンスになってます。
ぜひ映像で見て雰囲気を味わってもらいたいところではありますが、緩急のあるフローに程よい手数とバイブスで、シンプルなかっこよさがある感じです。調子が悪かったとはいえ、ムートンを倒した実力は伊達ではないということがrapから伝わってきます。
続いて後攻のふぁんく。こちらはもう相手の言葉を拾いまくって、ひとつひとつに対して面白おかしくdisり立てていく感じで、1バース目よりもさらにエンジンがかかってきた印象です。
特に前半のこの辺のラインは面白さとdisの威力が瞬間的に爆発した感じで、笑いと歓声が同時に上がるような盛り上がりを見せていました。
また、釈楽の「ギャグセンでは勝てない」というライン対しては「バカじゃねぇ?」「すべて備える それがラッパー」と切り捨てていて、この辺の両者の考え方の違いも垣間見えてきます。
スキル至上主義のふぁんくでしたが、その「スキル」が示す範囲が相当な広範囲に及ぶということですね。
続いては後攻釈楽の2本目。
釈楽のバースはどれも安定してかっこいいラインが多くあるのですが、言葉の選び方と間の取り方、リズムの良さが非常に巧いなと感じました。
言葉の落とし方が非常にバランスよく、ハードなライミングやウィットに富んだアンサーがそれほど多いわけではないにも関わらず、安定したクオリティで単調にならずにrapが継続できている印象でした。
そしてラストの着地もスムーズに決まり、全体通して素晴らしいパフォーマンスだったのではないかと思います。
結果は会場の盛り上がり具合が1段階上だったふぁんくの快勝となりました。順当な判定が下された感じですね。
ただしふぁんくが目立ち過ぎていたので影に隠れてしまった印象はありますが、この試合はぜひ釈楽の安定感やクオリティ、rapのかっこよさにも注目して観てもらいたいと思います。
本音を言えば当初は私もムートン対ふぁんくが観たかったファンの一人でしたが、地元をrepしてここまで勝ち上がり、良い試合を展開してくれた釈楽にも拍手を送りたいです。